社会保険新報 平成28年8月号

社会保険新報2016年7月号表紙

2016年8月号

新宿中央公園から望む
東京都庁舎
(新宿区西新宿)

【コラム東西南北】長いほう 短いほう どちら?

編集委員 亀井 一司

イラスト:東西南北

平成28年5月27日(金)午後5 時58分、しーんと静まり返った広島平和記念公園に、その声は力強く語り始めました。

「71年前の快晴の朝、世界は変わりました」
現職のアメリカ大統領として初めて広島の地を踏んだ、バラク・オバマ大統領の声明文の読み始めでした。

当初は、「数分間の所感」とされていたオバマ大統領の声明文は、約17分間に及びました。思ったより長く力の入った壮大なものであり、平和への思いが込められたスピーチに感銘を受けました。

スピーチといえば、"鉄の女"と呼ばれたイギリス初の女性首相マーガレット・サッチャー氏のスピーチは、素晴らしかったと聞いています。イギリスの政治家は、例外なくスピーチが上手く、下手では出世ができないとか…。かつて、有名な政治家の「30分の演説ならばその準備は5分、5分の演説ならば30分必要だ」という言葉を聞き、名演説家でも事前の準備は怠らないことに感心し、納得したものです。

昨今、私も年齢に応じて、会合に出席する機会が多くなっています。素晴らしい挨拶に感動することもあります。お世辞にも上手いと言えないが、機転を利かせて冗談を交えながら聞き手の心を捉えて話す人もいます。また、司会者が「時間の都合がありますので、ご挨拶は短めに」と促しても延々と話し続ける人や、「それでは乾杯いたします」の声にグラス片手に立ち上がるも話は尽きず、テーブルにグラスを置いて話す人も。いやはや、ビールの泡もどこへやら…。

スピーチは、上手いほうがいいのはもちろんですが、加えて言えば、"短いほうがよし"でしょう。

だいぶ昔の話ですが、女性を対象にしたアンケート調査で、「長いほうがいい」ものの1位が「デパートの営業時間」、次いで「独身時間」、「花の命」。逆に「短いほうがいい」ものの1位は「プロ野球の試合時間」だったそうです。少数ですが、「鼻の下」という回答も(笑)。現代では男女を問わず、長い短いではなく、それぞれの年代にあった時間や空間を上手に使い分けて、人生を謳歌している人が多いようです。

TPOという言葉がありますが、人生に決まりはなく、長かろうが短かろうが、"人生いろいろ"その場の雰囲気で考えて行動していくべきであろうと私は思います。

最後に、亀の甲より年の功で、高速道路のサービスエリアのトイレが混んでいるときは、若い人の後ろに並ぶことをおすすめします。私を含む高齢者は、大半が"長いほう"ですから…。


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