国際的交流の活発化により、企業から派遣されて海外で働く人や海外で生活する人が、年々増加しています。
海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度への加入が必要となり、日本の社会保障制度の保険料と二重に負担しなければならない場合が生じています。また、日本や外国の年金を受け取るためには、一定の期間はその国の年金に加入しなければならない場合があり、そのために、日本は諸外国と社会保障協定を締結しています。
社会保障協定の締結の目的
保険料の二重負担防止 | 保険料の二重負担を防止するため、加入するべき制度を2国間で調整する。 |
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年金加入期間の通算 | 日本の年金制度に加入していた期間を協定相手国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする。 |
各国との社会保障協定の発効状況
平成28年10月現在、日本は19か国と社会保障協定を署名し、うち16か国分が発効しています。締結の目的である、保険料の二重負担防止と年金加入期間の通算は、日本とこれらの国の間でのみ有効となりますので、ご注意ください。ただし、イギリス、韓国、イタリアとの協定は、保険料の二重負担防止についてのみです。
協定が発効済みの国 | ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド |
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署名済み未発効の国 | イタリア ルクセンブルク フィリピン |
日本の年金制度への加入者が協定相手国で働く場合の社会保障制度と手続き
社会保障協定の内容は、協定相手国の社会保障制度の内容に応じて、その取り扱いが異なる場合があります。
就労状況および派遣期間 | 加入する社会保障制度 | |
日本の事業所 からの派遣 |
5年以内と見込まれる一時派遣 | 日本の社会保障制度 |
上記の派遣者の派遣期間が、予見できない事情により、5年を超える場合 | 原則は協定相手国の社会保障制度だが、両国の合意が得られた場合には日本の社会保障制度 |
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5年を超えると見込まれる長期派遣 | 協定相手国の社会保障制度 |
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協定相手国での現地採用 | 協定相手国の社会保障制度 |
日本の年金制度への加入者が一時的に協定相手国に派遣される場合
日本の年金制度への加入者が一時的に日本から協定相手国に派遣されて就労する場合、協定相手国の社会保障制度への加入を免除されるためには、日本の社会保障制度に加入していることを証明する「適用証明書」の交付を受ける必要があります。
1 日本の適用事業所の事業主が年金事務所に「適用証明書交付申請書」を提出
2 審査の結果、申請が認められた場合、「適用証明書」を交付
3 派遣された被保険者は、協定相手国内の事業所に「適用証明書」を提出
●審査の結果、申請が認められなかった場合は、協定相手国の社会保障制度に加入することになります。
●「適用証明書交付申請書」は、協定相手国によって様式が異なります。詳しくは、日本年金機構ホームページをご覧ください。
● 協定相手国の規定により、協定相手国の実施機関から求められた場合は、「適用証明書」を提示または提出してください。
当初の一時派遣期間の予定を延長して協定相手国で就労する必要が生じた場合は、事業主が年金事務所に「適用証明書期間継続・延長申請書」を提出してください。
審査の結果、申請が認められた場合には、新しい「適用証明書」が交付されます。
■「適用証明書」を紛失・き損または記載内容に変更があった場合には、「適用証明書再交付申請書」を提出してください。
長期(5年を超える期間)に日本から協定相手国に派遣されて就労するなど、厚生年金保険および健康保険の被保険者が協定相手国の社会保障制度にのみ加入する場合は、日本の適用事業所の事業主が厚生年金保険および健康保険の「被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出してください。この場合、「被保険者資格喪失届」に、協定相手国の社会保障制度に加入したことがわかる書類を提示してください。
国民年金および国民健康保険の被保険者で、協定相手国で長期にわたり自営活動をする、または、協定相手国内の事業所等で現地採用となる場合は、被保険者本人が国民年金および国民健康保険の「被保険者資格喪失届」を住所地の市区町村に提出してください。この場合、「被保険者資格喪失届」に、協定相手国の社会保障制度に加入したことがわかる書類を提示してください。
社会保障協定の取り扱いおよび手続きについては、日本年金機構ホームページでご確認ください。
このページの記事の内容に関するお問い合わせは、
管轄の年金事務所
(http://www.nenkin.go.jp/n/www/section/)まで