国際的交流の活発化の中、企業から派遣されて海外で働く人や将来を海外で生活する人が、年々増加しています。海外で働く場合には、働いている国の社会保障制度に加入する必要があり、日本の社会保障制度の保険料と二重に負担しなければならないケースが生じています。また、日本や外国の年金を受け取るためには、一定の期間、その国の年金に加入しなければならない場合があるため、保険料が年金給付に反映されないことがあります。
社会保障協定の締結の目的
●保険料の二重負担を防止するために、加入すべき制度を2国間で調整する。(二重加入の防止)
●年金給付に反映できるよう、日本の年金加入期間を、協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする。(年金加入期間の通算)
各国との社会保障協定の発効状況(2014年10月現在)
協定が発効済みの国 | ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド スイス ブラジル ハンガリー |
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署名済み未発効の国 | イタリア インド ルクセンブルク |
*保険料の二重負担の防止および年金加入期間の通算は、日本とこれらの国の間でのみ有効となります。また、イギリス・韓国・イタリアについては、保険料の二重負担の防止のみです。
日本が協定を結んでいる国で働く場合の手続き
●被用者が一時的に協定相手国へ派遣される場合
被用者が一時的(5年を超えない期間)に協定相手国に派遣されて就労する場合、協定相手国の社会保障制度への加入を免除されるためには、日本の社会保障制度に加入していることを証明する「適用証明書」の交付を受ける必要があります。日本の適用事業所の事業主が、年金事務所へ申請手続きをしてください。
【具体的な手続き】
(1) | 事業主が、年金事務所へ「適用証明書交付申請書」を提出してください。 |
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(2) | 審査の結果、申請が認められた場合に、「適用証明書」が交付されます。 ※強制適用による被保険者が、事業主の命による派遣により、一定期間を超えないと見込まれる期間、当該被保険者の要件を満たしつつ、協定相手国内で就労する場合には、就労地の社会保障制度への加入が免除されます。また、一定期間については、各協定により異なります。なお、協定によっては、他の要件が付与されているものもあります。詳しくは、年金事務所へお尋ねください。 |
(3) | 派遣された被保険者は、協定相手国の事業所に「適用証明書」を提出してください。
*申請が認められなかった場合には、協定相手国の社会保障制度に加入することとなります。 |
●当初の一時就労期間の予定を延長する場合
日本の適用事業所の事業主が、年金事務所へ「適用証明書期間継続・延長申請書」を提出してください。審査の結果、延長申請が認められた場合に、新しい「適用証明書」が交付されます。
●協定相手国の社会保障制度にのみ加入する場合
協定相手国へ長期派遣(5年を超える期間)されるなど、厚生年金保険・健康保険の被保険者が協定相手国の社会保障制度にのみ加入する場合は、日本の適用事業所の事業主が、年金事務所へ厚生年金保険(および健康保険)の「資格喪失届」を提出してください。この場合、「資格喪失届」には、協定相手国の社会保障制度に加入した旨がわかる書類(協定相手国の実施機関等が作成した社会保障制度の加入証明書等)を提示してください。
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