編集委員 植西 信博
お正月からトラブルに遭遇しました。そうです。あのはげしい寒波のため、京都では61年ぶりの大雪で、毎年2日に開催している4人の兄弟姉妹の家族そろっての「正月の集い」に、京都市以外に住んでいる私の家族だけが、孫まで含めて9名参加できず、悔しい未年のスタートとなりました。私は昭和24年に生まれてから一度も欠かすことなく、京都でお正月を過ごしてきました。その記録が66回目で途切れ、終止符を打つことになってしまいました。
そこで、今年一年を無事に乗り切るための重要なキーワードとして、企業の危機管理と同じように、私自身の危機管理の大切さを再確認し、決意を新たにした次第です。
第1の目標は、健康保険組合の常務理事時代に心がけた、日常生活における健康危機管理です。特に大切なことは、意識の問題で、健康管理に対する姿勢が重要です。日常的に健康を意識するために誰にでもできること、それは体重と血圧を毎日あるいは1週間に1度、同じタイミングで計測し、記録に残すことです。また、日常生活で体に異常がなくても、毎年同じ時期に健診を受け、誕生月や結婚記念月などの特別な月には専門ドックを受診して、脳や肺、消化器などの特定箇所を精密検査でチェックします。
精密検査の結果、異常が見つかれば、早期発見・早期治療で完治させ、病気に対する不安を除去でき、日常生活を安心して過ごせるメリットがあります。異常が見つからなくても、これらの検査結果データを検査項目ごとに一覧表にし、数値の推移をチェックして、自分の問題点を把握することができます。人任せではなく、自分で記録することが重要です。問題点を自覚すると、生活習慣病に対する取り組み姿勢が変わってきますので、次のことに留意して、日常生活を過ごすことができます。
● | 食べ物・飲み物の摂取量の制限と薬との飲み合わせの注意を忘れない。 |
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● | 体を動かす(短時間でも有酸素運動を意識して歩く)ことを続ける。 |
● | 心身の休息をとる(それぞれに応じた時間、1日・1週間・1か月に1回を意識して、自分に適したリフレッシュ方法)ことでリラックスする。 |
● | 1日に1回は10分間の歯磨きをするなど、目標と期間を決めて、家族と一緒に生活習慣の改善にチャレンジする。 |
次に、人間関係における危機管理です。勤務していた会社が解散して、再就職の面接を受けた支店長経験者の先輩営業マンが、中小企業の社長から質問された実話です。
『大企業で豊富な人脈をもっておられることと思いますが、会社の関係者以外の友人・知人は何人おられますか? また、その方々の中で、今連絡をして、本日会食にお付き合いを頼めるほどの無理を利いてもらえる方は何人おられますか?』
この質問は、戦力になる見込みがあるか否かを判断する材料として発せられたものでしょう。どのような企業で働いていても、会社の看板を背負って仕事をしていますが、地位や肩書きではなく、個人レベルで深い信頼関係を築ける人であれば、どこの会社に勤めても、戦力になりうるといえましょう。このことから業務上で知り合った方々と、業務外を含めた友人としての人間関係にまで広げた人脈の構築を意識して、仕事をすることが特に重要だと感じました。
● | 部署や組織などに所属していたそれぞれの時期に親しくしていた友人と、今も会っているか。 |
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● | 友人の話を真摯に聞き、相談にのって、納得できる解決策をアドバイスしているか。 |
● | 自分の友人が新たな友人関係を築くための橋渡し役を務めているか。 |
● | 最近は滅多に会えなくても、年賀状などの挨拶は欠かさずしているか。 |
次に、個人の財産に関する危機管理です。総務省年金記録確認第三者委員を経験して感じたことなどを含めて、意識して実践すべきポイントは次のとおりです。
● | 給与明細や源泉徴収票は、収入だけでなく控除金額など、人生の重要な記録が詰まっている。年金記録の確認などの証拠となるため、すべて保存する。 |
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● | 銀行の預金通帳は、こまめに記帳して確認し、解約したものを含めて、すべて保存する。 |
● | クレジットカードで支払ったものは、すべて確認する。 |
● | 通信機器関係の明細書(ネット画面を含める)は、すべて確認し、利用状況により見直しをする。 |
● | ICカード乗車券は、利用明細をこまめに確認する。 |
● | それぞれのパスワードは、統一せずに期間を決めて変更する。 |
● | 請求書などの利用明細は、確認するまで破棄しない。 |
「言うは易し行うは難し」ということわざがありますが、習慣として続けることは、ひとつの行であると思います。厳しい修行のひとつとして努力することが重要です。個人レベルの危機管理には、地震や災害時の対応など、いざというときに対応できる事前準備を含めて、数々のテーマがあります。テーマごとに意識して、工夫して、実践していきたいと年頭に誓いました。