社会保険新報 平成27年8月号

社会保険新報2015年8月号表紙

2015年8月号

父島 二見港
(小笠原村)

【コラム東西南北】美味しい食べ物の話

編集委員 増田 雅人

イラスト:東西南北

私の最初の転勤先は大阪で、1980年代の7 年間を過ごしました。担当エリアは近畿全県と広く、マニュアルの営業車で名神高速と阪神高速を毎日走行していました。当時は各県にある販売代理店を月末に訪問し、手形を集金する商習慣がありました。

この頃の最大の楽しみの一つが、滋賀県の代理店での集金の後の、JR近江八幡駅近くにある肉屋さんが経営しているレストランでの昼食でした。毎回、ハンバーグランチと牛トロ握りという贅沢な内容で、ハンバーグにナイフを入れたときの肉汁を眺め、とろける生肉にわさびがのった握りを食べるなんて、それまでの私には想像したことのない初めての衝撃でした。

次の転勤先は、1990年代の6年間を過ごした仙台です。福島県以北を担当しましたが、冬の北風は耳が切れそうに痛かったです。転勤当初は、冬場になると寒冷地手当(灯油代)が支給されていました。子どもが小さかったため、冬は車で30分ほどのスキー場で毎週遊んでいました。

東北の冬は鍋ものが最高です。特に比内鶏でダシをとった醤油ベースのきりたんぽ鍋は絶品で、ごぼうやせり等を入れるときりたんぽにスープの味が浸みてたまりません。秋田には毎週出張できないので、仙台市内で秋田の郷土料理を提供してくれる店を探したところ、一番町のアーケードにありました。材料はすべて秋田からの取り寄せ。夏には鳥海山の雪解け水で成長した岩牡蠣を食することができ、1年中幸せを感じていました。この店舗は現在は一番町から移転し、仙台市内で営業を続けています。

最後に2000年代の4年間を過ごしたのが九州です。出張先で地元の方に美味しい食べ物を教えていただきました。クエ鍋、水炊き、ラーメン、馬肉、かしわ、ふくなど、東北地方と変わらぬ食材の宝庫である九州。なかでも、秋から冬にかけて脂ののった生サバは感動です。福岡市東浜の大型スーパー内にある本格的な回転すし店で食べたサバの握り寿司。こんな上品な脂がのった魚は人生初!サバを生で…、いやいやこれ以上の説明は不要です。実食をお勧めします。

魚の種類と鮮度では九州は日本一と当時よく耳にしました。確かに今思えば、美味しい魚を当たり前に食べていた夢のように幸せな4年間でした。美味しい食べ物に感謝です。


一般財団法人 東京社会保険協会
〒160-8407 東京都新宿区新宿7-26-9

  • サイトマップ
  • サイトマップ
  • お問い合せ