社会保険新報 平成28年4月号

社会保険新報2016年4月号表紙

2016年4月号

増上寺と東京タワー
(港区芝公園)

【コラム東西南北】新たな季節の始まり

編集委員 河村 正義

イラスト:東西南北

4月といえば、新たな季節の始まりや新生活への旅立ち、気候が穏やかになるなど、何か新しいことが始まる月だと思います。

企業では、新入社員の入社により、新たな風が吹き込み、新鮮な感じになります。学校では、新たな友達ができ、進級や進学して新たな環境での活動が始まります。気候は、朝晩の冷え込みが収まり、次第に日中は暖かくなり、桜の満開を迎え、人々が活気に満ちあふれてきます。

このように新たな季節の始まりである4月は、法律が施行または改正される時期でもあります。

今年の4月から実施される注目すべき法律の改正は、電力の小売業への参入が全面自由化されることだと思います。今までは、家庭や商店向けの電気は、各地域の電力会社だけが販売することができ、他の事業者から電気を買うことはできませんでした。しかし、4月1日以降は、電力の小売業への参入が全面自由化されることにより、家庭や商店を含むすべての消費者が、それぞれのライフスタイルに合わせて、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。

あまり知られていないかもしれませんが、電力の小売自由化は、工場などの大口消費者については、すでに実施済みです。

最初の電力の小売自由化は2000年3月に始まりました。対象は、「特別高圧」区分の大規模工場やデパート、オフィスビルなどで、電力会社を自由に選択することができるようになりました。その後、2004年4月と 2005年4月に、対象が「高圧」区分の中小規模工場や中小ビルなどへと拡大し、2016年4月からは、「低圧」区分の家庭や商店などでも、電力会社を自由に選択することができるようになりました。以前から電力の小売自由化を行っているとはいえ、本当に大丈夫なのか心配ではありますが、小売自由化後も、物理的な電力供給の仕組みについて、原則、変更はないようです。

電力の小売自由化により、さまざまな事業者が参入してくることで、多様な新しいサービスが期待されます。

たとえば、電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引やポイントサービスの付与、家庭の省エネ診断サービスなど。また、太陽光・風力・水力・地熱などの再生可能エネルギーを中心に発電を行う事業者から電気を買える、近くの自治体が運営する事業者から電気を買えるなどの電気の地産地消ができる、住まいのエリア外で発電された電気を購入できるなど。このように選択肢が増えることによって、今までにない新たな可能性が広がりました。

現代は電気なしでは生活ができない状態となっています。これまでは、一部の電力会社のみが電気を供給していましたが、さまざまな事業者を自由に選択できることは喜ばしいことであります。しかし、単に安いからだけではなく、総合的に判断して選択したいと思います。


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